イタリアワイン:

抜栓後のワインを劣化させず、むしろおいしくする方法

酸素に触れるとワインはおいしくなります。
ワインをおいしく保管する方法のポイント2点を紹介しています。

各ワイン紹介で書いている項目
「タンニン、フルーティさ、甘み、重さ、アルコールのアタック感の強さ」
は、このページに記載されている方法で保存されたワインの味わいです。

酸化
熟成
空気を
抜く
温度
管理


抜栓後のワインをどんどんおいしくする方法をご存知ですか?

あまり知られていませんが、ワインは抜栓してからどんどんうまみを増していきます。
その間に味がどう変化したかをまとめた記事の掲載が、このサイトの主な内容です。

レストランのソムリエの中には「抜栓後の酸化熟成」などと言う方もいて、つまり

ワインを抜栓して酸素に触れた後さらに熟成が進んで旨みが増す現象

のことなのですが、適切な管理をしないとすぐに味が悪い方向へ劣化してしまいます。とはいえ、管理のために大切なポイントは大きく分けて2つ。

・抜栓後、保存前にしっかりと空気を抜く処理をする
・15度前後での保存を徹底する

ということです。抜栓後のワイン、この方法で管理していくと、どんどん味が変わることを実感できるでしょう。

この記事では、空気に触れてワインがおいしくなること、劣化させずにワインがおいしくなるように保管する方法を詳しく紹介します。

※レストランのソムリエの中で、同じ方法で管理している方々から習得した方法です。

 

ワインは空気にふれて美味しくなる

レストランでワインをボトルで頼むと「デキャンタ」に移す「デキャンタージュ」をすすめられることがあります。
実は、ワインは抜栓直後は、おいしく飲めないことがあります。実力を発揮できていないという方が正しいかもしれません。

そういうワインを空気に触れさせて美味しくする方法があります。それが

デキャンタージュ

という方法になります。

↓デキャンタにうつしてデキャンタージュしたワインを注いでいる様子

デキャンタージュというのは簡潔に言うと「ワインをボトルからデキャンタという容器にうつす」ことでワインを空気に触れさせる行為です。これにより

・空気に触れたワインの香りが開く
・空気に触れたワインのタンニンがまろやかになる
・空気に触れたワインのアルコールのツンとした刺激が和らぐ

というような味に対する効果があるのですが、要するに

空気に触れるとワインは味を変える

ということです。この効果をうまく利用すると「抜栓後の酸化熟成」が狙えて、劣化するどころかワインがおいしくなります。
 

空気を抜いて保管する

前述したように、空気に触れるとワインの味が変わるのは事実です。しかし、

長時間空気に触れさせておくと、酸化が進みすぎて劣化に繋がる

のも同時に事実ではあります。
そのため、抜栓後、空気に少し触れさせたあとは、それ以上空気にふれないようにして保管しましょう。
一度空気に触れているので、酸化熟成は始まっています。

ところで「空気に触れないように保管する」と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、

空気を抜く方法は難しくありません。

レストランでソムリエが、ワインにコルク以外の蓋をつけてそのあと筒のようなもの(空気を抜くポンプになります)でシュポシュポやっているのを見たことがある人もいるかも知れません。

実はあれは、ワインストッパーやバキュームポンプと呼ばれるものでボトル中の空気を抜くための道具なのです。

↓参考までに管理人が使用しているものです。赤い部分を引き上げると空気が抜けます。


コツはあるものの

空気を抜くバキュームも使い方はとても簡単です。

コツ① 空気を抜けるポンプを何回も引く
コツ② 結構力を入れないとポンプが動かない段階までひたすら空気を抜く

以上です。特にボトルの中身が半分以下になってくると、抜かないといけない空気も多くなってくるのですが、そこは辛抱強く何度もポンプを上下させてください。

また、最近多くのレストランでも使い始めている、プルテックスというメーカーが作っているアンチオックスという商品は、蓋をするだけで酸化を防止してくれるシステムです。
蓋の内部に仕込まれている炭素がボトル内の酸素と混ざって二酸化炭素になることで、ワインの酸化を防ぐという面白い商品です。

↓開けたワインはコルクでは長期保存が難しいです。


コルクを挿し直して保存すると、もちろん空気を抜くことができません。
そのため、ボトルの中の酸素がワインの酸化を早めてしまって、長期保存して楽しむことができなくなります。
 

15度以下で保管する

ワインが傷んでしまうのを防ぐためには、15度程度を目安にそれ以下の温度で保存する必要があります。

ワインセラーがあれば温度設定を15度にすればいいので簡単ですが、ない場合、冷蔵庫の野菜室で簡易的に代替は可能です。
ただし、冷蔵庫は頻繁に開け閉めすることや、またコルクのワインは特に他の食材の匂いを吸ってしまうことから、本来はおすすめしません。

しかし、どうしても冷蔵庫で管理したい場合、手間ですが、
ワインの先をラップとゴムで覆ってできる限り空気を遮断する
方法もあります。

↓ラップで口を覆ってからゴムでしめます。

特に抜栓後の場合は、ワインセラーであっても冷蔵庫であっても、

縦置きにして保管する

ことが必須です。

↓使用しているワインセラーの一部ですが、ワインセラーの中でもしばらく飲む予定のないものはラップなどで空気にふれないようにしています。

理由:抜栓後の意図せぬ味の変化を防ぐ
抜栓後にはバキュームで空気を抜くのは必須ですが、このまま横にするとワインの液面が、蓋の素材であるゴムやプラスチックなど、ボトル以外の素材についてしまいます。
すると、蓋の素材の影響で、味が意図しない形で変化してしまう可能性があるため、横置き保存は厳禁です。

まとめ:ワインの味の変化を楽しもう!

「空気を抜いて15度以下で縦置き保存」することで、ワインは長期保存できて、かつ劣化とは異なる形で味が変わることを説明しました。
やってみるといろいろな発見があって楽しいですよ。
ワイン好きの方も、そうじゃない方も、お酒が好きな人はぜひやってみてください。